築100年、壊しすぎないリノベーション

Concept

ちょうど100年を迎えた古民家。施主さまもここで生まれ、育ち、多くの思いを刻んでこられました。リノベーションにより現代的な技術や設備で住みやすさを追求する一方、柱1本、建具一つにおいても壊す必要のないものは徹底的に生かし、残しました。101年目からの歴史を紡ぐお住いが完成しました。

Data

建築面積 125.63平方メートル 38.00坪
延床面積 150.88平方メートル 45.64坪

毎日見ていた天井もそのままに

この建物は大正15年に祖父が建てたもの。私の父と母、姉弟もこの家で生まれ、高校を卒業するまでここで暮らしました。

母が茶道の師範だったため茶室やお稽古用の水屋付きの和室もありました。和風門をくぐり、にじり口から茶室へ、、、子どもの頃から見慣れてきた風景は離れていた時も忘れたことはありません。今回、にじり口は防犯と寒さ対策のために外から閉じ、息子のリモートワーク用の部屋にしました。にじり口は閉じましたが部屋側の戸の名残や風情のある門はそのまま残しました。

土間付きのリビングダイニングキッチンには念願の薪ストーブを設置しました。土間にした部分は私が寝ていた部屋。天井をそのまま残してもらえた!子どもの時、受験勉強の時、うれしい時も悲しい時も毎日見ていたそのままの天井です。これを見ながら新しい暮らしができるとは思ってもいませんでした。

静かな時の流れが新しい歴史を紡ぐ

当初、リノベーションが可能なのか、それとも建て替えるのか、はたまた売却するのかさまざまなことを考えましたが素人だけで決めることは難しく、知人を通して中野さんに出会い、相談にのってもらいました。

総じて価値観が合ったこと、何より「壊し過ぎないリノベーション」というコンセプトが私の考えと一致。残す造りや材に合わせて壁には漆喰を使うなどコストがかさむ部分もありましたが、納得のいくものになりました。

中野さんと草処建設さんには本当にお世話になりました。古いものの良さや価値に思いがある人、納得のいく空間で暮らしたい人は特に、相談をおすすめします。

玄関もなるべく壊さず、建具などもできる限り生かしました。

土間のあるリビングダイニングキッチン。薪ストーブを設置しました。薪ストーブの前に置いたベンチは上り框に使われていた材を再利用した造作家具。

茶室、お母様がお茶のお稽古に使われていた和室も当時の雰囲気を残しながらリノベーションしました。

新設したリビングダイニングキッチンの裏側の部屋。元々はお風呂でした。

担当

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設計●中野久美

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